池上本門寺を読む

短歌・俳句

『池上誌』に投稿された短歌・俳句をご紹介します

短歌 選者 清水麻利子

卒寿越えあちこち不具合身に応ふ
自立自立と今を励みぬ
富田 朝子
クロワッサン土産にたづさふ老弟に
シチューを馳走す共に独り居
富田 朝子
ベランダの鉢のもらい手探しつつ
手入れする朝手術ひかえて
小林みよ子
六月に梅採りつけて土用干し
甘酸っぱくも酔いしれた日々く
西嶋 弘子
末枯れたる泰山木の一輪は
若きらの中われとも見ゆる
水野 博子
天空のスーパームーン皓々と
手を合わせ観るゆく夏の夜
浦野 みよ
熱中症恐れ籠れば吾も海鼠(かいそ)
気うつなニュース追ひ打ちをかく
木下 洋子
酷暑なか屋根外壁の足場取れ
生きてるうちの仕舞いの工事
秋山 典子

俳句 選者 能村研三

絵日傘を一回転の些事一つ
岩波 博庸
惜敗に空のすみゆく蝉しぐれ
池田 勝
空蝉の眼の潤み夢のあと
峰崎 成規
あぢさゐの圧倒的な多数決
関根 瑶華
水平ら真っ直ぐに澄む大植田
小形 博子
土壁をこねる男の玉の汗
阿部眞佐朗
神域の霊気は涼気大鳥居
石川 笙児
鯵刺の魚をとらへる一弾指
古居 芳恵
墓参後は故人の好きなかき氷
酒井 智章
大寺に反り打つ甍青葉雨
菊地 光子
夕凪や帰船の睡る船溜り
伊藤よし枝
時刻表なき渡し船利根の春
竹田 絹子

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