池上本門寺を読む

短歌・俳句

『池上誌』に投稿された短歌・俳句をご紹介します

短歌 選者 清水麻利子

新涼にまた新たなる血潮かな
騙しだましの余生なりしが
立花三千男
足湯して朝ドラを観てアカペラも
息(そく)よ案ずな孫を鍛えよ
立花三千男
朝毎にあまた花咲くニチニチソウ
炎天に優し夕には散れり
富田 朝子
カレンダーに印をつけるはお医者さん
忘れなきよう埋め尽くす日々
辻井 良枝
身辺の視野怠らず嘴広鸛(はしびろこう)
微動だにせず賢者か神か
石川正三郎
雨戸繰る明け初めの外に涼風の
まじりて知るや秋のたしかさ
菊地 宣子
歳月の流れははるか過ぎゆきて
別れし友の淋しさつのる
瀧口 陽耕
口ずさみ気付けば校歌覚えてる
友の顔・こえ若いままなり
西嶋 弘子

俳句 選者 能村研三

くたばつてたまるか八月十五日
石川 笙児
緑さす宝珠たゆたふ伊八波
小形 博子
海原のしじまに浸す銀河の尾
峰崎 成規
真打の噺の跳ねて盆の月
阿部眞佐朗
駆けだして子は風となる花野原
菊地 光子
露草や瀬音清らかに峡の朝
伊藤よし枝
湧き出づる御手洗池の涼しさよ
古居 芳恵
大提灯畳みて台風防備かな
酒井 智章
無花果や誰にも言へぬ隠し事
関根 瑶華
百態に座する羅漢やいわし雲
岩波 博庸
水掻きは雲を乱して鴨涼し
竹田 絹子
ゐがづちの音に目覚める昼寝時
秋山 典子

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