短歌・俳句(過去の投稿 2022/03)

このページは、池上本門寺『池上誌』に投稿された過去の俳句です。最新の投稿はこちらの池上本門寺 短歌・俳句をご覧下さい

短歌 選者 清水麻利子

耳澄ます心静かに来る年を
穏やかなれと余韻の中で
辻井 良枝
書初の白い羊毛黒くして
円を書きたる我が心かな
切通 耕道
初雪や環八通りの雪の紙
「夢」の一文字ナガグツで書く
切通 耕道
実の色の赤褪せぬままピラカンサ
なほたわわなり睦月の夕べ
水野 博子
お互いに程よき距離を親子ほど
こじれし縺れいくたび見しや
立花三千男
松風にさそわれ歩む夕暮れに
亡夫と語らう日々の暮らしの
秋山 典子
園児らの声にぎやかに窓のそと
大寒の風暖めていく
菅谷 妙進
初春にディオールの店マスク下
赤くつややか気に入りの紅
西嶋 弘子
メダカ池のメダカの分校は信楽の
大火鉢です公民館に
山崎 蓉子

俳句 選者 能村研三

餅搗いて見せる八十路の力瘤
石川 笙児
大吉を小指に結ぶ初神籤
峰崎 成規
蔵出しの朱塗の椀に小豆粥
酒井 智章
どんど火のどつと崩るる火の快楽
関根 瑤華
帝国の興亡を知る海鼠かな
阿部真佐朗
しやちほこの尾の高々と初御空
古居 芳恵
百日を織る百日の雪明り
竹田 絹子
青空や触れて冷たき案内板
菊地 光子
払暁の声にちからの寒稽古
岩波 博庸
語り手の声は七色春隣
小藤真由美
倒木の裂目尖りて雪降り積む
阿部 直己
富士見ゆる土手に水仙安房の路
池田 勝
人住まぬ隣家の庭柿たわわ
今里 隆
風呂吹を供えて母に味をきく
小川 三代