短歌・俳句(過去の投稿 2016/03)

このページは、池上本門寺『池上誌』に投稿された過去の短歌と俳句です。最新の投稿はこちらの池上本門寺 短歌・俳句をご覧下さい

短歌 選者 山中登久子

いただきし賀状さまざま読み返す
三番叟やら三猿やらを 
小池 豊子
ペチュニアのこぼれ種子より今も咲く
命愛しく喜び交わす 
奥 貞子
八十と八年生かされはじめてに
道路にうつ伏せ大の字転倒
檜山 太作
亡き夫のウールの下着縮まりて
寂しき肌のわれをぬくめり
菅谷 妙進
ホームにて家恋しさを断ち切りて
指を折りつつ短歌を楽しむ
澤邊 茂野
老いゆけば多病息災今年はた
病む目に入れる人工レンズを
飛田 正勝
朝光のさし来る庭におりたてば
雨の冬田に陽炎のたつ
吉野 芳子
穏やかにくれし一日の悦びよ
ふる里紀行のテレビ楽しむ
佃 かね子
目出たさも卒寿を過ぎると中くらい
囲碁の相手はコンピューター
村上 登三江
墓参おえ父母への報恩のひとかけら
今年最後の満月仰ぐ
菊地 蓮子

俳句 選者 能村研三

掃き寄せる一茶の詠みし散紅葉
飛田 正勝
煤逃げや逃げ場のなくて海を見に
石川 笙児
一点に静寂を手繰る寒北斗
峰崎 成規
胎の児を無事生ましめよ初御空
阿部 真佐朗
太箸や晴れて家長となりにけり
酒井 智章
神杉の樹齢いくとせ淑気満つ
保田 榮子
虎落笛山の木霊をひきずりて
柴田 初子
御降りや豊穣の前兆なりや
今里 隆