短歌・俳句(過去の投稿 2022/09)

このページは、池上本門寺『池上誌』に投稿された過去の俳句です。最新の投稿はこちらの池上本門寺 短歌・俳句をご覧下さい

短歌 選者 清水麻利子

天地知る我も知りたると母の言う
今だし忘れず夢に見る母
村田 邦子
花仕舞白い野バラの枝落とし
月日を思う花バサミ手に
菊地 蓮子
さようなら白内障癒えスッキリと
稜線の見え満足の朝
西嶋 弘子
巡り来る暑い暑いも生かされし
証し故なり有り難きかな
辻井 良枝
はかなげな水辺のホタル飛びたちて
雲間より覗く夏空まぶし
辻井 良枝
盆迎え今年もわびるオモテナシ
わが歳かさね簡素となりて
菅谷 妙進
逝く道に先ゆく順はなけれども
後輩先立つ哀しみ深し
瀧口 陽耕
歳月よ君逝きてより十余年
ぼくになかった余生見取り図
立花三千男
黒雲が逃れるがごと流れゆく
豪雨禍なんぞ素知らぬかおで
立花三千男

俳句 選者 能村研三

朝ぐもり今日為すことを反芻す
菊地 光子
星月夜六万九千三八四
酒井 智章
露地を掃く音生れ継ぐや今朝の秋
阿部真佐朗
晩年の父似と言はれ星涼し
石川 笙児
虹を見し眼そのまま持ち帰る
峰崎 成規
日盛りや無声映画のやうな街
関根 瑶華
郭公の声を歩調に峠道
古居 芳恵
長梅雨をぐいと止める仁王尊
小形 博子
鬼面のシテの摺り足はたた神
岩波 博庸
一枚の空はカンバス雲の峰
伊藤よし江
黒鉄の鍬さつくりと青時雨
阿部 直己
腕に抱く胡瓜これからエトセトラ
小藤真由美
珈琲の香に誘われて麦の秋
今里 隆