短歌・俳句(過去の投稿 2023/04)

このページは、池上本門寺『池上誌』に投稿された過去の俳句です。最新の投稿はこちらの池上本門寺 短歌・俳句をご覧下さい

短歌 選者 清水麻利子

帰宅許可下りたる妻の痩せし背
労るやうに流す初風呂
石川正三郎
久方に逢えて嬉しやデー友の
補聴器全開マスクの中も
辻井 良枝
きみあらば初句が陳腐と笑いけん
時にずばりの君の辛辣
立花三千男
きみあらば部屋は整頓いつだって
僕を叱らず僕は学ばず
立花三千男
寒卵採りたし雄鳥けたたまし
「ごめん」と言いつつ掌にする温み
菊地 宣子
晩年に曾孫抱ける幸せの
繋がる縁「はなまる」 ですね
櫻井 俊子
咳をする幼き我を覗きこむ
亡母なつかしくず湯飲む夜は
小林みよ子
如月の午後に届いた花籠は
純白のバラ目元がうるむ
菊地 蓮子
垂乳根の亡母の逝く先見えねども
召されし国は光りあふるる
瀧口 陽耕

俳句 選者 能村研三

奔放が風の本心春一番
峰崎 成規
行僧も交じりて宗祖降誕会
酒井 智章
風を寄せひかりをよせて山笑ふ
菊地 光子
波寄せる能登金剛の海苔を摘む
阿部眞佐朗
フエルトの靴を幼に青き踏む
石川 笙児
はるかぜや新刊庇ふ薄葉紙
古居 芳恵
人行き交ふことの楽しや浅き春
関根 瑶華
花菜道どつとランナー過ぎにけり
伊藤よし江
梅東風や水琴窟の音さやか
岩波 博庸
語り部の静寂に榾崩れけり
竹田 絹子
静かな夜と思ひきや雪しんしん
今里 隆