短歌・俳句(過去の投稿 2018/09)
このページは、池上本門寺『池上誌』に投稿された過去の短歌と俳句です。最新の投稿はこちらの池上本門寺 短歌・俳句をご覧下さい
短歌 選者 山中登久子
兄と姉つづき葬りて故郷の
遠くなりたりわれは老いつつ
遠くなりたりわれは老いつつ
吉野 芳子
夏場所や意気揚々と花道を
小兵力士の姿あっぱれ
小兵力士の姿あっぱれ
切通 耕道
今年またお歯黒蜻蛉ひらひらと
舞うが如くに頼もしくあり
舞うが如くに頼もしくあり
奥 貞子
朝の庭に囀る雀のさわやかに
目玉くりくり小枝飛び交う
目玉くりくり小枝飛び交う
菊地 蓮子
久々の熟寝のあした涼しかり
九十余年生かされてをり
九十余年生かされてをり
澤邉 茂野
夢に来て「俺の歳まで歩いてみろ」と
背中をむける卒寿の父は
背中をむける卒寿の父は
飛田 正勝
いろいろのことありしかな盆菓子も
花もビールも仏前に供う
花もビールも仏前に供う
佃 かね子
趣味の友病いたわり訪ね来し
心もはずむ希望に生きむ
心もはずむ希望に生きむ
石渡 セン
故郷にのこし離れた海原を
思いださせる体感温度
思いださせる体感温度
五戸 将弘
俳句 選者 能村研三
筑波嶺の見えて涼しき故郷かな
石川 笙児
古民家のあし裏にある梅雨じめり
菊地 光子
兄さんとなりし子に打つ天花粉
阿部眞佐朗
限りなき汗が唱える盆の経
酒井 智章
水を打つ力まだある米寿かな
飛田 正勝
暑気払ふ手立て無心に研ぐ包丁
山室伊津子
星逢ふ夜嫁がず逝きし友のこと
長門 洋
走り梅雨民家格子のつやを増し
今里 隆
汗もまたうれしきことと老の身は
辻井 良枝