短歌・俳句(過去の投稿 2022/10)

このページは、池上本門寺『池上誌』に投稿された過去の俳句です。最新の投稿はこちらの池上本門寺 短歌・俳句をご覧下さい

短歌 選者 清水麻利子

暑い夏ぎこちなく乗る車椅子
押すも初めて乗るも初めて
辻井 良枝
残暑にて冷しターバン求めては
負けるな負けずステキな姿
西嶋 弘子
そよぐ葉の香りの風につつまれて
少しの憩い竹林の朝
菊地 蓮子
夜七時残暑見舞をポストまで
猛暑はどこへ秋風に会う
菅谷 妙進
ワクチンを四回うちて帰る道
空飛ぶ鳥を眺めていたり
菅谷 妙進
抜歯して帰宅途中の道遠く
哀れなるかな齢の流れは
瀧口 陽耕
僅かなる米粒へばる薩摩芋
少年の腹満たせし昔
石川正三郎
軒先で桜草売る媼おり
一鉢二十円五鉢もとむる
秋山 典子
歌詠むは知的対話を嘯きて
ひとり暮らしのリズムとなせり
立花三千男

俳句 選者 能村研三

箱庭の椅子にわが身を坐らせて
石川 笙児
蝉しぐれ黄泉へ去る間の経三昧
峰崎 成規
さきがけもしんがりもなし稲雀
関根 遥華
屋上のプール開きのホイッスル
菊地 光子
出棺の空いっぱいに赤トンボ
酒井 智章
薄墨の作務衣おろして今朝の秋
阿部真佐朗
四ヶ国の名号石塔白槿
小形 博子
九十九里浜いちめんの干鰯棚
古居 芳恵
霧晴れて確と遠富士岬日和
伊藤よし江
水底の恋し清らかに月涼し
岩波 博庸
旧道の古りたる地蔵赤とんぼ
阿部 直己
文楽の黒衣の額汗光る
小藤真由美
日光のシャワー浴びて昼寝かな
今里 隆
殊の他暑い暑いと繰り返す
辻井 良枝
炎天下ホームベースに砂煙
切通 耕道