短歌・俳句(過去の投稿 2022/06)

このページは、池上本門寺『池上誌』に投稿された過去の俳句です。最新の投稿はこちらの池上本門寺 短歌・俳句をご覧下さい

短歌 選者 清水麻利子

春霖の止まぬ川辺にひともとの
糸柳ゆれけぶるごと見ゆ
菊地 蓮子
分校へ自動図書館「みどり号」
燕も巣づくり始めるころに
山﨑 蓉子
亡き夫のうしろ姿に似し人へ
かけてゆきたし陽春のなか
菅谷 妙進
懸命に言い返そうと幼な子の
とがる口もと飽かず見ている
黒羽はじめ
紺碧の空にうかべるはぐれ雲に
見とれ古典の講座に遅る
秋山 典子
雛祭のひ孫二人の笑顔あり
一家和楽の四代女性
切通 耕道
娘の腕?りて向かう春の日よ
ランチ楽しや顔ほころびて
辻井 良枝
想い出す和歌のふるさと玉津島
高砂舞いし姪ごの式を
西嶋 弘子
吾はいまも死期を悟らず一時は
憑かれし終活今はお蔵に
立花三千男

俳句 選者 能村研三

天も地も平等大彗桜満つ
酒井 智章
帰る家ありて旅人残る鴨
関根 瑶華
弁当に落花の贅や飛鳥山
石川 笙児
糶声にぱつと火がつく初鰹
峰崎 成規
赤ん坊のたましひ太る五月かな
阿部真佐朗
春の闇マナーモードの震へ鳴き
菊地 光子
雲の峰鳥湧きいづる天売島
竹田 絹子
うららかに市内循環レトロバス
古居 芳恵
錠前の錆びし保養所浜おもと
小形 博子
火の島を浮かべて春のきらら波
伊藤よし江
雲雀野や声高甲高き草野球
岩波 博庸
春風とたどる歴史山づたひ
小藤真由美
陽に添ふて野辺を歩きぬ鼓草
阿部 直己
花の雲大志を抱きくぐる門
池田 勝