短歌・俳句(過去の投稿 2024/05)

このページは、池上本門寺『池上誌』に投稿された過去の俳句です。最新の投稿はこちらの池上本門寺 短歌・俳句をご覧下さい

短歌 選者 清水麻利子

老施設柚子湯につかり来し方の
暮らしたどれば吾の身いとおし
櫻井 俊子
料理本のポイント書きつつ気がつけば
吾の現状は施設の食事
櫻井 俊子
いつよりかラジオ体操の歌と掛声
老いゆく身には疎ましくなり
馬場はじめ
新薬の価格を知れど是非もなし
まだもう少し生きる選択
立花三千男
子の襁褓洗いし桃色バケツのあり
捨てられぬまま四十五年
小林みよ子
最強の手相と占うますかけ線
両手に有りて思う半生
小林みよ子
世の中に戦の憂い見るにつけ
青い地球の色のあせゆく
瀧口 陽耕
ひなまつり祖母の命日何度目か
いつも誇らし桃花を捧ぐ
西嶋 弘子
おめでとう弾んだ声の飛び交いて
側で祈れりただただ感謝
辻井 良枝

俳句 選者 能村研三

百家争鳴うぐいすの主旋律
阿部眞佐朗
春昼やエレベータに浮遊感
石川 笙児
冴返る胸にまづ振る清め塩
峰崎 成規
枝折戸を開くれば枝垂れ桜かな
酒井 智章
ゆうるりと朝寝なぞして待つ果報
菊地 光子
暫くは正座して居る雛の客
伊藤よし枝
仮名文字の墨のにじみやけふ雨水
関根 瑶華
岬空をぐいと手元に枇杷摘果
小形 博子
隆起せし白米の田や下萌す
古居 芳恵
間道の春の音階探しけり
岩波 博庸
海面のあかりも歪む朧月
池田 勝