短歌・俳句(過去の投稿 2016/08)

このページは、池上本門寺『池上誌』に投稿された過去の短歌と俳句です。最新の投稿はこちらの池上本門寺 短歌・俳句をご覧下さい

短歌 選者 山中登久子

忘己利他己忘れて他を利する
貴き教え慚愧に耐えず
檜山 太作
はつ夏のはつかに揺るる松の枝
真間手児奈の池にさざ波
飛田 正勝
「まろいゆび童のようなまろいかお
かわかみミネは森の精かも」
橘 嘉朗
琉球の大動脈でドライビング
余所見をすれば瑠璃色の海
天間 泰湧
手術室に夫の入りて二時間余
落暉を見つつ廊下もとほる
吉野 芳子
我の掌に数多の猫の温もりが
今も残れりいつしか膝に
菊地 蓮子
背も腰も丸くなれどもそれなりに
心身ともに健やかに在り
奥 貞子
公園に歩きはじめの児の一、二歩
転びてはおきるたんぽぽの黄に
柴田さくら
寝たきりの夫の窓辺に鯉のぼり
認めしまなこに微笑み返す
曽山 澄子

俳句 選者 能村研三

幾百の願いを奏で風鈴祭
酒井 智章
女にもいくばくの敵黒日傘
菊地 光子
さくらんぼ水に踊らせ洗ひけり
保田 榮子
象眠る永久の故郷合歓の花
峰崎 成規
万緑や片手に余るにぎりめし
阿部真佐朗
新樹の香全身あびてウォーキング
今里 隆
紫陽花やスイッチバックして愛でる
飛田 正勝
一舟の墨絵の如し走り梅雨
山室伊津子