短歌・俳句(過去の投稿 2022/11)

このページは、池上本門寺『池上誌』に投稿された過去の俳句です。最新の投稿はこちらの池上本門寺 短歌・俳句をご覧下さい

短歌 選者 清水麻利子

声のなき蝉の来たれば泣かぬまま
逝ってしまひし孩子とも思ふ
山名 恒子
八月の御霊祭偲びて真夜近く
片割れ月を見送りにけり
山名 恒子
広々と空地埋める露くさの
日照り最中に藍の色極む
菊地 宣子
東西に老いたる姉妹住みおれば
気象予報を忙しく見る
木下 洋子
炎暑避け片陰つたいて外出し
頬なする風にほっと安らぐ
櫻井 俊子
立ち上がる夫あやうし「どっこいしょ」
筋力鍛える朝のスクワット
村田 邦子
吾子のもと嫁ぎ来し娘の縁ありて
「池上」の縁十年を過ぐ
小林みよ子
名月や中天高く昇りつめ
環八照らす我が家も照らす
切通 耕道
夕食はものは試しの宅配よ
老はトライす生き方改革
立花三千男

俳句 選者 能村研三

母さんの二の腕まろき豊の秋
阿部真佐朗
太刀魚の立ちてゆらゆら夢を見る
石川 笙児
新涼や等身大は生きやすし
峰崎 成規
林檎一つ乗せて夫への置手紙
関根 遥華
此の岸と彼の岸繋ぐ曼珠沙華
酒井 智章
許すとは諦めに似て吾亦紅
菊地 光子
篤き眼の日蓮像の爽気か
古居 芳恵
綱つりの大きな草履秋気澄む
小形 博子
杜ゆらし神輿百磴かけ降り来
伊藤よし江
直線のコスモス街道雲一朶
岩波 博庸
江ノ電や軒端の芙蓉届きさう
竹田 絹子
さやけしや余生せつせと野良仕事
阿部 直己
さわやかにわれに山彦われを呼ぶ
池田 勝