短歌・俳句(過去の投稿 2016/09)

このページは、池上本門寺『池上誌』に投稿された過去の短歌と俳句です。最新の投稿はこちらの池上本門寺 短歌・俳句をご覧下さい

短歌 選者 山中登久子

椎の花匂ひつつ散る産土の
宮静かにて季移りゆく
吉野 芳子
遠き日の思い出急に浮かび来ぬ
柘榴の花に降る雨ほそし
佃 かね子
梅雨明けてひたすら響く蝉の声
短き生や耳澄ませ聴く
檜山 太作
赤黄色食べごろですよとミニトマト
香る命よありがたきこと
奥 貞子
そよ風が踊れば風鈴歌いだす
夏の風物難持坂上
天間 泰湧
遠き日の母とも紛ふ面差しの
姉は柩に静まりてあり
細井 崇宏
夕日射す手のひらサイズの黒揚羽
ひと夜あみ戸に宿りうごかず
村山奈津子
「こんにちは」書道教室若やげる
汗にじませて子等学び来る
菅谷 妙進
凌霄花掃き溜めあるも散るままも
風情のありて境内明かし
柴田さくら

俳句 選者 能村研三

咲き満ちて崩るる冥加朴の花
山室伊津子
白雨きて土の匂ひを残し去る
保田 榮子
逝き人の名を提灯に盆踊り
酒井 智章
尻上がる茨城訛り羽抜鶏
石川 笙児
歳重ね互ひに頑固古茶新茶
柴田 初子
下戸にして謹厳実直ソーダ水
阿部真佐朗
目に映へる山の青さや夏つばめ
田所 英之
山荘に色なき風のバルコニー
今里 隆
季刻む古木に苔の青きかな
辻井 良枝