短歌・俳句(過去の投稿 2022/05)

このページは、池上本門寺『池上誌』に投稿された過去の俳句です。最新の投稿はこちらの池上本門寺 短歌・俳句をご覧下さい

短歌 選者 清水麻利子

寄せ植えは黄色い花に青い花
ウクライナ旗よ悲しみ共に
菊地 蓮子
田の中の鶴の親子の一本足
光さす朝塒飛び立つ
切通 耕道
枝先に一輪花付け列列と
緑葉艶やか椿は飽かず
秋山 典子
お日さまの匂いがすると老い母は
首をすぼめて幼の笑顔
秋山 典子
医科大の窓より見ゆる片男波
水面にゆれる春のおとずれ
西嶋 弘子
老いせまりバリアフリーの湯舟でも
力はいる身真剣勝負
西嶋 弘子
何も彼も忘るるやまひ二十年
未だ吾の顔を妻覚えしか
石川正三郎
色づきし桜のつぼみ開きおり
庭の片隅花やかになり
瀧口 陽耕
ご無沙汰の友らに春の誘いを
三年ぶりの花見酒でも
立花三千男

俳句 選者 能村研三

春の雨耳濾す音となりにけり
石川 笙児
橋脚に渦の舞ひ見す花筏
峰崎 成規
初蝶や己が鼓動を連れて来る
阿部真佐朗
花を待つ風に微熱のありにけり
関根 瑤華
初蝶や天地返しの土にふれ
竹田 絹子
うららかに市内循環レトロバス
古居 芳恵
廃校の校舎に捧ぐ卒業歌
小形 博子
遠富士をときおり仰ぎ磯菜摘む
伊藤よし江
啓蟄や子等の弾きゐる駅ピアノ
酒井 智章
真青なる空の余白へ雲雀笛
岩波 博庸
平和問ひ平和を願ひて雛納
小藤真由美
朝霞くぐり来たりし牛の声
阿部 直己
駘蕩と梅の花びら戯れる
秋山 典子