短歌・俳句（過去の投稿　2023/06）

このページは、池上本門寺『池上誌』に投稿された過去の俳句です。最新の投稿はこちらの池上本門寺　短歌・俳句をご覧下さい

短歌 選者 清水麻利子

水仙の香に迎えられ手を合わせ
先祖の墓は寛永と刻む
秋山　典子
遠州の魂込めし松濤園
枝垂桜の落花うるはし
石川正三郎
しっとりと小雨の中に舞う桜
今年も愛でる朝の幸福
菊地　蓮子
花びらのちらりほらりと肩に舞う
居逢わせて吾れ思いひとしお
辻井　良枝
もののめのみごとな芽ぶき芍薬の赤
芽群れらか陽に映えわたる
菊地　宣子
ホワイトデー指輪わたして婚約と
孫の知らせにせすじを伸ばす
菅谷　妙進
コロナ癒え街は明色やさしげな
春はうららの街衢彷徨う
立花三千男
盛りあがるＷＢＣ始まりて
試合となれば家事は遠のく
櫻井　俊子
今朝も出す勇気づけ声吹き抜けの
響く歌にぞ治癒ねがう我
西嶋　弘子

俳句 選者 能村研三

穀雨なりけり虹色の鳩の首
石川　笙児
清浄を悟りし順に蓮の花
酒井　智章
リラ冷えや水面に映る運河の灯
竹田　絹子
銀杏芽吹く万の産声いつせいに
峰崎　成規
雨の音聴けばきこえて土佐水木
菊地　光子
霾れり縄文土器の煮炊き跡
小形　博子
茎立ちや東京タワーの過ぐる日々
古居　芳恵
涙腺の緩む夕暮豆の花
関根　瑶華
蒼穹やつつじ明かりに浮く天守
伊藤よし江
春畑の土柔らかく湯気のたつ
秋山　典子
春雷や一句生み出したる目覚め
池田　勝