短歌・俳句（過去の投稿　2021/10）

このページは、池上本門寺『池上誌』に投稿された過去の俳句です。最新の投稿はこちらの池上本門寺　短歌・俳句をご覧下さい

短歌 選者 清水麻利子

鴨去りしあとの水辺にかすかなる
穂波を渡る風の音せり
水野　博子
小鳥らの諸声聞こゆその間に
はやチンチンと鉦叩きの音
水野　博子
風鈴の荒けし音色黒い雲
とり入れようか縁に佇む
西嶋　弘子
青い空みつめて歩む文月の
風鈴参道風はさやけし
菊地　蓮子
自治会報回す時だけたずね行けば
忌中の貼紙盛暑の中の
秋山　典子
この暑さマスクの下は熱中症
日陰さがして深呼吸する
秋山　典子
忘れないよ耳朶に残りしきみの声
「あなたに逢えて幸せでした」
立花三千男
育ちゆくひ孫の姿前にして
知恵つく時の速さに驚く
瀧口　陽耕
オリンピック熱い競技に汗ながす
選手の髪を立秋のかぜ
菅谷　妙進

俳句 選者 能村研三

勝鬨はむかし跳ね橋雲の峰
石川　笙児
境内の降神の槙秋の声
小形　博子
おんどりの揺らぐ鶏冠や花カンナ
古居　芳恵
シーサーの屋根に目を剥く日の盛
菊地　光子
蜩やむかし仇討ちありし坂
阿部真佐朗
身ほとりに瀬音のありて鮎づくし
関根　瑶華
エアコンを止めて黙祷終戦忌
酒井　智章
一茎の高砂百合の凛と咲き
秋山　典子
夕焼の影は大人になつてゐる
小藤真由美
愛用の帽子あみだに秋暑し
岩波　博庸