短歌・俳句(過去の投稿 2022/07)

このページは、池上本門寺『池上誌』に投稿された過去の俳句です。最新の投稿はこちらの池上本門寺 短歌・俳句をご覧下さい

短歌 選者 清水麻利子

美しい白フクロウと対面す
森のベンチで朝の集福
菊地 蓮子
カーネーション抱えて母に会いに来し
うつろなまなこは娘を認らず
菊地 宜子
病院の待合室で涙する
亡母似のひとと隣り合わせで
菅谷 妙進
東京より疎開地へ発ちし無蓋貨車に
銀河見上げて家族七人
山崎 蓉子
パスポート持ちし那覇の子雇ひ入れ
五十年経し彼はいづこに
石川正三郎
夕まぐれスケボー飛ばす子どもらは
マスクをはめて口笛を吹く
村田 邦子
大躍進世界一位の若武者は
正々堂々ラケットの舞
切通 耕道
明け早し窓開け放ち背伸びする
亡妻に声かけきょうも矍鑠
立花三千男
熊野道みなが通いし小栗橋
時経ち今は休耕田に
西嶋 弘子

俳句 選者 能村研三

蟇鳴きて夕闇ゆるりとゆらぎをり
峰崎 成規
赤ん坊に熱き四肢あり雲の峰
阿部真佐朗
今更に嘘とは言へず万愚節
石川 笙児
あぢさゐに雨滴きらりと遠汽笛
関根 瑶華
結葉の岬宮に透く笙の笛
小形 博子
つぎつぎと跳ぶ水溜り遠足子
菊地 光子
海風や棒のごとくに吹き流し
伊藤よし江
薫風や靴紐固く結ぶべし
酒井 智章
つつがなく木霊を返し花は葉に
岩波 博庸
悠然と風受け止める茂りかな
阿部 直己
駘蕩と梅の花びら戯れる
秋山 典子
さざ波や砂丘にそよぐ浜昼顔
池田 勝