短歌・俳句(過去の投稿 2016/04)

このページは、池上本門寺『池上誌』に投稿された過去の短歌と俳句です。最新の投稿はこちらの池上本門寺 短歌・俳句をご覧下さい

短歌 選者 山中登久子

妻の友の八十八歳の女性より
バレンタイン・チョコレートいただく
檜山 太作
「人生は自分で創る」という文字に
煩悩多き老後となりて
菅谷 妙進
千姫も於大の方も眠る寺に
千樫も春夫も共に眠れる
飛田 正勝
短歌あり未熟なれども続けんと
思う心のほのぼのとあり
奥 貞子
一本の循環バスはわれのみを
乗せて駅まで霜の野を行く
吉野 芳子
還暦を目前にして他界せし
弟に供える白菊の花
菊地 蓮子
喪のはがき今年も多く在りし日の
友の賀状を文箱に納む
佃 かね子
ふるさとの民話を演じ仲間らと
人形劇の余韻味わう
森永 妙江
寒風にゆれる裸木の梢に見ゆ
有るか無きかの小さき芽生え
小池 豊子
てきぱきと頭の指示の行き渡り
追儺の桟敷組み上がりけり
石川 正三郎
ふり返り己を見つめこみ上げる
我が来し方の恥らいのあと
村山 奈津子
ドアが開きホームへ降りた都会人
心から凍るよ七戸十和田
天間 泰湧

俳句 選者 能村研三

春浅し畷にのこる深轍
石川 笙児
風車回して祈る野の仏
酒井 智章
羅漢らと寛ぎ分かつ弥生かな
峰崎 成規
みはるかす甲斐の山々春残し
阿部 真佐朗
かつしかの土手の一里や青き踏む
飛田 正勝
大鍋のことこと外は虎落笛
保田 榮子
大雪や新調長靴をおろしけり
今里 隆
寝たきりの母盆栽の梅見かな
増島 淳隆