短歌・俳句（過去の投稿　2023/05）

このページは、池上本門寺『池上誌』に投稿された過去の俳句です。最新の投稿はこちらの池上本門寺　短歌・俳句をご覧下さい

短歌 選者 清水麻利子

新年の真白きノートの事初め
卒寿の息吹整えてかく
櫻井　俊子
小寒の日差し春めく蓴菜の池を
めぐりて早春の香を吸う
櫻井　俊子
待つほどに暦も春に近づきて
降りそそぐシャワーのような枝垂梅
辻井　良枝
菊苗の鉢に根分けもようやくに
春めくひと日腰さすりつつ
菅谷　妙進
初音聴き空は明けゆく森の道
歩めば清し今日がはじまる
菊地　宣子
あれからの吾が日記には息子の名
ばかりが増えし母逝きてから
小林　みよ子
同居する娘は旅にて留守なれば
自炊のカレー意外にうまし
石川正三郎
身を持ってテレビで学ぶ未病法
手足動かし汗ばむ季節
秋山　典子
一人部屋なれど廊下は賑わえり
歌にとりくみのぞむ退院
西嶋　弘子

俳句 選者 能村研三

一面の菜花筑波嶺揺らしけり
石川　笙児
里山のせせらぎ澄めり芹青む
古居　芳恵
マラソンのゼッケン五桁風光る
峰崎　成規
あたたかや七福神を巡り終え
酒井　智章
ひと舟のたこ焼き提げて春日傘
阿部真佐朗
麦秋や鈍行を待つ木のベンチ
関根　遥華
寒晴や翼めきたる雲ながれ
菊地　光子
涅槃西風漁網の覆ふ生簀篭
小形　博子
落日をめざし帰雁の棹ますぐ
伊藤よし江
芽花抜く土手に言葉を掛けながら
岩波　博庸
ものの芽の祈るかたちに膨らめり
竹田　絹子
裸木に脹ら雀ら枝遊び
秋山　典子