短歌・俳句(過去の投稿 2020/10)

このページは、池上本門寺『池上誌』に投稿された過去の俳句です。最新の投稿はこちらの池上本門寺 短歌・俳句をご覧下さい

短歌 選者 清水麻利子

風鈴のねいろ恋しく氷水
すこし残してコップをゆらす
菅谷 妙進
空耳か妻の泣く声聞こえたり
四月に亘る面会謝絶
石川正三郎
補聴器を捕聴器にして朝まだき
山に入りて鳥の声聴く
増島 浄徳
老僧のなごり惜しみて手をふりし
片手ハンドル此経難持坂
西嶋 弘子
休みいし給食室に灯りつき
何やら匂い心ほどける
佐々木恵子
まねごとが習い性なる主夫仕事
きょうは夜なべに靴下かがる
立花三千男

俳句 選者 能村研三

遅れをるヨット一艇湾の花
小形 博子
伴睦の虎の眼光青嵐
石川 笙児
背ののびて声変りして日焼けして
菊地 光子
日替りの鉢巻締めて生身魂
阿部眞佐朗
炎天や赤美しく紫蘇ジュース
酒井 智章
甚平着て酸いも甘いも噛み分ける
関根 瑶華
手花火の十方の闇分け合へり
岩波 博庸
秋隣息絶え絶えの畝作り
阿部 直己
路地裏の木漏日掬ひ夏の蝶
竹田 絹子
死は必然急ぐな急かすな鉦叩
山室伊津子