短歌・俳句(過去の投稿 2017/05)
このページは、池上本門寺『池上誌』に投稿された過去の短歌と俳句です。最新の投稿はこちらの池上本門寺 短歌・俳句をご覧下さい
短歌 選者 山中登久子
贈りくれし草餅の味の美味なりし
有難きかなうららかな午後
有難きかなうららかな午後
菊地 蓮子
かの花の記憶もどらず名をさがす
短歌の中にその名見出す
短歌の中にその名見出す
村山奈津子
明け方の雨より変わりし霜月の
降雪めずらし五十四年ぶりとふ
降雪めずらし五十四年ぶりとふ
吉野 芳子
妻は耳鼻科夫は眼科の待合室に
コート着しまま呼び出しを待つ
コート着しまま呼び出しを待つ
飛田 正勝
春くれば夫の好物タラの芽の
精進揚げを供えつつ嬉し
精進揚げを供えつつ嬉し
石渡 セン
生きものに自然治癒とふ技のあり
二十日三十日と指折りかぞふ
二十日三十日と指折りかぞふ
石川正三郎
亡き夫と笑みつつ揃いて花見をせり
ひとり病む今テレビに花みる
ひとり病む今テレビに花みる
佃 カネ子
ビルの光湖面に揺れつつほのかにも
波を分けつつかいつぶり浮く
波を分けつつかいつぶり浮く
柴田さくら
亡き夫の声の記憶の蘇り
語りかけつつ一人芝居す
語りかけつつ一人芝居す
菅谷 妙進
齢すすみ趣味そこそこに重ね来て
楽しくもあり友と語れり
楽しくもあり友と語れり
奥 貞子
法華経の方便品と寿量品
団扇太鼓を諳んじんとす
団扇太鼓を諳んじんとす
村上登三江
俳句 選者 能村研三
五線譜の砂紋に唄ふ桜貝
峰崎 成規
喫茶去の一軸寂びて梅白し
柴田 初子
剥製の鷹の眼うごく春の闇
石川 笙児
春光や画布に盛上ぐ青絵具
菊地 光子
花を活け花に活かされ春障子
酒井 智章
はこべらや大道芸の心意気
阿部真佐朗
暮六つの紙燭のごとき辛夷かな
山室伊津子
はるかなる塔を拝みて青き踏む
今里 隆