短歌・俳句(過去の投稿 2015/11)

このページは、池上本門寺『池上誌』に投稿された過去の短歌と俳句です。最新の投稿はこちらの池上本門寺 短歌・俳句をご覧下さい

短歌

里山の段々畑あぜ道は
深紅に燃えて曼珠沙華続く 
檜山 太作
父の齢まではひとけた一合の
酒弄ぶ八十五歳 
飛田 正勝
人はみな孤独と言いし老友の
話にふかくふかく頷く
佃 かね子
長男と夫の位牌携えて
姉は次男の住む街に越す
吉野 芳子
暑き夏早く朝起き生き生きと
日毎の用事す九十七歳
小池 豊子
七回忌遺影の夫は穏やかな
在りし日のまま家族を見守る
千葉 瓊子
モンステラ冬でも育つ常緑の
山の星とは素敵な名前ね
 桜木 園子
愚痴言える姉の旅立ち我ひとり
心に渦巻く幼き日のこと
 奥 貞子
寂聴の法話聞きつつ涙しぬ
我が心根に愛の湧きいづ 
瀧口 庸行
見渡せば蓮の葉そよぐ太鼓橋
香気は天へ立秋の朝 
 菊池 蓮子
 
 選者 山中登久子

俳句

短気らは判らぬ自然薯の長さ 
酒井 智章
天高し日慈貫首の温顔忘れじ
石川 笙児
切株は癒しの椅子や小鳥来る
山室伊津子
ひとつだけ頻りに揺れて曼珠沙華
阿部真佐朗
秋の夜のスローライブや本門寺 
田中 愛二
百日紅雨にますます色を増し
 今里 隆
蜩や日かげりそめし仁王門 
保田 榮子
旋回の鳶舞ふ谷や風は秋 
田所 英之
 
選者 能村研三