短歌・俳句(過去の投稿 2022/08)

このページは、池上本門寺『池上誌』に投稿された過去の俳句です。最新の投稿はこちらの池上本門寺 短歌・俳句をご覧下さい

短歌 選者 清水麻利子

小雨避けなじみの書肆に雨やどり
お礼とせんかムンク一冊
立花三千男
雹に打たれ若葉散りしく木の下に
二羽の小鳥の横たわりおり
村田 邦子
散歩道ゆきちがう時あごマスク
上げたり下げたりシャッターのよう
菅谷 妙進
久に見る小学校の運動会
負けても楽しい競技の多し
木下 洋子
連れ立ちてカフェにプリンを注文す
己がためには作らざる今
水野 博子
祖師唱ふ国の道筋安国論
世界平和を取り戻すべく
石川正三郎
載ったよと知らせ下さる一報に
細胞元気気分満点
辻井 良枝
夕暮れに誘はれ歩む松風に
亡夫と語らふ日々の暮らしの
秋山 典子
つつがなく楽しくあれよ老母ひとり
生家に暮らす 我は切なくて
菊地 宣子

俳句 選者 能村研三

子規庵の切欠き机花へちま
石川 笙児
青あらし文字より暮れてゆく石碑
関根 瑶華
病棟の静謐包む緑雨かな
峰崎 成規
迂闊にも坪庭に生きひきがへる
阿部真佐朗
つぎつぎと跳ぶ水溜り遠足子
菊地 光子
山峡の聖のごとくに朴咲けり
竹田 絹子
でで虫や生きるも死ぬも急がずに
酒井 智章
廃屋の静けさを守る柿の花
岩波 博庸
海光の育てし枇杷は陽の色に
古居 芳恵
涼しさの黒帯一本立ち姿
小形 博子
とつぷりと漬る訛や祭の夜
伊藤よし江
山仕事終へて一息沙羅の花
阿部 直己