ネット

インターネット

 当初はパソコン通信のように一部の人が情報をやりとりするだけの存在だったインターネットですが、2000年代に入って爆発的に普及しました。現在では、情報通信ばかりでなく経済・教育・産業など社会の隅々にまで浸透し、なくてはならない社会基盤となっています。皆さんもスマートフォンを持って、テレビ以上にインターネットの情報画面をのぞき込んでいる人もいらっしゃると思います。
 このインターネットの肝となるキーワードは「共有」です。インターネットが普及する以前には、難しかった地球の裏側で起こっている事件の動画でさえ、インターネットではほぼリアルタイムに見ることができます。動画を、情報を「共有」しているからです。
 それ故、お寺の行事や案内等、檀信徒の皆様だけでなく一般の人に広く弘める事が出来るようになりましたが、と同時に、知られてはいけないこと、見せるべきではないことも「共有」されてしまう危険性をはらんでいるといえます。

共有の怖さ

 インターネットの肝は「共有」です。インターネットで情報を共有することにより手軽に様々なことを知ることが出来ます。また受け取るだけでなく、情報を発信して、檀信徒だけでなく、日本中いえ世界中の人に我がお寺を紹介し、不特定多数の人と情報を共有する事が出来るのです。
 とても便利なインターネットですが、その反面、知られたくない個人情報も不特定多数の人に共有されてしまう可能性を含んでいます。インターネット上に拡散してしまった情報は、その仕組み上、後から回収することも、削除することも出来ません。
 檀信徒だけでなく不特定多数の人が共有する事を常に念頭に置き、住職・寺族・檀信徒の個人情報などは特に気をつけて取り扱う必要があります。例えば、お寺の固定電話は開示しても、住職の携帯電話は開示しないという風に、事前にルールをしっかりと決めて、区別して管理する必要があります。

本当に削除出来ない?

 インターネットの情報は、自分の手元に到着するまで、例え日本のホームページであっても世界中の、いくつものサーバーをリレー形式で受け渡され、到着します。ちょうど、町内会の回覧板が色々な人の手で受け渡されていくイメージです。もしその中に良からぬことを考えている人がいたら、容易に回覧板の中身をコピーすることが出来てしまうのです。

ホームページ

 ホームページ(正式にはウェブページ・ウェブサイトと言いますが、ここでは一般的なホームページと表現します)は、お寺の縁起や行事を紹介したり、交通案内を掲載するなど、インターネットを使った情報公開の定番であり、檀信徒以外の人に対しては、お寺の顔ともいえます。
 しかし、意気込んで綺麗に作成したホームページも、更新しなければ直ぐに死んでしまいます。お金をかけて作った看板でさえ、古いままで苔むしているようでは、訪れる人の信用を失ってしまうことと同じです。ホームページは、定期的に、月に一度や、少なくとも季節ごとに行事案内や行事の様子などを載せ、更新し続けて生きているホームページにする必要があります。

手軽にホームページ作成

 日蓮宗では、寺院用ホームページ作成サービスを提供しています。このサービスでは、日蓮宗の最新情報が常に掲載される仕組みとなっていますので、更新作業に不慣れな人や、忙しく手が回らない人でも手軽に「生きている」ホームページを運営することが出来ます。詳しくは宗務院までお問い合わせください。

スマーフォン対応を

 2022年現在、ホームページの閲覧方法は、7割以上がスマートフォンからのアクセスになっています。手元で手軽に情報を確認する生活スタイルが定着したといえます。ホームページのスマートフォン対応は必須となってきています。

住職はさらし者?

 ネット販売をしているお店のサイトでは、店長の顔を載せた場合、載せていないサイトに比べて7割も好感度が増すという統計があります。「住職の顔が見える」というお寺のホームページもご一考下さい。

SNS

 SNSとは、ソーシャルネットワーキングサービス(Social Networking Service)の略で、登録したもの同士が親しく情報を共有したり、交換したりするサービスの総称です。2022年現在、Facebook(フェイスブック)・Twitter(ツイッター)・Instagram(インスタグラム)・LINE(ライン)などが有名です。
 手軽に情報を発信し・得る事が出来るSNSですが、SNSは登録したもの同士が交流するサービスであって、親しいもの同士の閉鎖された空間ではありません。つまり、登録さえすれば不特定多数の人が見ることが出来るという事を常に意識する必要があります。お寺の情報発信にSNSを使用する場合は、間違いを事前に防ぐためにも必ずアカウントを分ける、出来れば個人のスマートフォンではなくお寺用の機器を揃えることが望ましいと思います。
 ありのままの自分を見せると言って個人のアカウントのまま情報発信している人もいますが、受け取る側は千差万別です。お寺を背負っている限り、どういう情報であろうとも、その人個人としてではなく、お寺の代表・寺族の代表・日蓮宗の代表として見られてしまうのだと意識する必要があると思います。

LINEもSNS?

 LINEは携帯電話番号に紐付けされているため、決められた人との閉鎖されたコミュニケーションツールのように思えますが、LINEのホームでは写真などを「全体に公開」することが出来ますので、SNSの一種だといえます。

しっかりと切り分け

写真にご注意

 ある若い僧侶が我が子の入学式に出席した写真をSNSに掲載しました。
 満面の笑みで写る我が子とのツーショットでしたが、その後ろに偶然、同じように写真を撮っていた別の母子が映り込んでいました。その母親は離婚係争中で、子供を私立の小学校に入れたいと養育費の増額を条件に出していましたが、その写真から公立の小学校に入学したことが相手に伝わってしまいました。後に、その母親は写真を掲載した若い僧侶に弁護士経由で抗議と賠償を求めてきました。
 この他、不特定多数の人が見ているインターネットでは、若い女性や子供たちが写った写真は特に気を使う必要があります。お寺の行事に参加する楽しげな子供達の写真を載せたいと思う気持ちは十分理解できますが、子供達にも肖像権があり、お寺のホームページやSNSに載せる場合、保護者の許可が必要となります。
 行事に参加している子供達を掲載する場合は、後ろ側から顔を写さないように撮る、写真を加工して顔をぼかすなど、最大限の配慮が必要であることを覚えておいてください。

便利だけど不便なスマホの写真

 スマートフォンで手軽に写真や動画を撮れるのはとても便利ですが、その写真一枚一枚には、写した時間・写した機種・写した正確な場所(GPS信号)などが情報として埋め込まれています。
 安易にスマートフォンの写真を他の人に渡すと、その時間になぜそこにいたの?みたいな事を言われてしまうかもしれません。