短歌・俳句(過去の投稿 2019/10)

このページは、池上本門寺『池上誌』に投稿された過去の短歌と俳句です。最新の投稿はこちらの池上本門寺 短歌・俳句をご覧下さい

短歌 選者 山中登久子

夏休み書道に集う日焼け顔
猛暑に負けず背丈伸びゆく
菅谷 妙進
盂蘭盆会四百年もねむる墓
薩摩の国に先祖ねむりおり
切通 耕道
朱に染まるまで咲き尽くしたる酔芙蓉
一日一世よの花の愛かなしき
飛田 正勝
春過ぎて夏来たりなば遠く見ゆ
だれそれのすがた陽炎の中に
五戸 将弘
零れ種子松葉牡丹の黄色のみ
絨毯のごと命寄りそひ
奥 貞子
懐かしい風鈴の音に昼下がりの
参道あゆみ心やすまる
菊地 蓮子
ただ一人の束縛を待つと書きしより
雲の分布は日々に美し
三国 玲子

俳句 選者 能村研三

夏休み父存在の釘を打つ
菊地 光子
かたつむり時には家も枷となる
石川 笙児
音高く捕手のミットや稲の花
阿部眞佐朗
元号をまたぎ迎える初盆会
酒井 智章
浜花火このあたりまで来し津波
飛田 正勝
八月や命をつなぐ塩と水
山室伊津子
一人居の淋しさ紛らす蝉しぐれ
辻井 良枝
行列の最後に並ぶ暑さかな
増島 淳隆