短歌・俳句(過去の投稿 2018/06)

このページは、池上本門寺『池上誌』に投稿された過去の短歌と俳句です。最新の投稿はこちらの池上本門寺 短歌・俳句をご覧下さい

短歌 選者 山中登久子

一九四二年の小学校卒業式
苦しかりしが蘇る来る「仰げば尊し」の声
小澤 元
白梅を脚立に息子と剪定す
春浅き日の楽しきときのま
千葉 瓊子
花の散る音の静けさ雨のなか
命の音と耳をかたむく
五戸 将弘
八部咲きの大島桜香のたちて
月の光に映えて美しき
菊地 蓮子
遠く来て祖師堂にそう伏姫の
華の十日を杖つき仰ぐ
飛田 正勝
亡き父母の墓前に捧ぐ草花に
そよと吹く風春の装い
瀧口 庸行
待望の年に一度のバスハイク
祈りさわやか本門寺かな
澤邊 茂野
貫首よりおほめ頂き感動す
春雨のなか涙あふるる
切通 耕道
花散りぬ時のながれは速すぎて
日暮れてひとりブランコ淋し
奥 貞子
仰ぎ見るにたわわに咲ける紫木蓮
美しきかな我が誕生日
石渡 セン
記憶弱く話続かぬ夫との
会話「もとに戻れ」と夫の言えり
村山奈津子

俳句 選者 能村研三

青き踏む足裏の発条の生れけり
石川 笙児
水切りの石に丸みや春霞
菊地 光子
菜の花を割って信濃へ中央線
阿部眞佐朗
新発意の衣整い四月尽
酒井 智章
つばくろの軌跡の先に父母の墓
瀧口 陽耕
竹の秋国道沿ひの薮知らず
飛田 正勝
哲学か仲間はずれか残る鴨
山室伊津子
小流れの音も変りて春の水
今里 隆
正座してひ孫筆持つ春の午後
切通 耕道