日蓮 法華経の行者にて、あるなしを御覧あるべし(王舎城事)
「私、日蓮の生涯を知り、法華経をどのように拝受し、お題目を人々の為にどう説いたか。法華経の行者、上行菩薩の立場をどのように受け止め行動したか考え、自らの安らぎの糧としてほしい」
令和に生きる私たちへ日蓮聖人からのメッセージです。
今月ご紹介の聖語は、文永十二年四月、宗祖五十四歳身延山から大信者四条金吾殿へのお手紙の一節で、金吾殿が銭、白麦等供養の品々をお届け申し上げ、大事件、鎌倉に大火事あり幕府の御所、幕府が信仰している極楽寺等が火災にあった事が述べられており、そのご返事が王舎城事であります。
まず題名の(後世の人がつけた)王舎城とは、お釈迦さまご在世中伝道の中心であったマカダ国。この国は古代印度十六大国の中の国のことで、この国が何度かの大火にあった時に王宮王舎城だけが焼け残った。マカダ国内には法華経が説かれた霊鷲山をはじめ竹林精舎などがあり、今日的表現では佛教の聖地。その聖地の功徳で王舎城だけは残った。この事に当時の人々も思い至り、以後国全体の名としたところ、火事はなくなった。人々は王舎城は焼けないとの確信を得られたと伝えられております。余談ですが本宗の棟札には王舎大城の四文字を入れる事、伝承です。
日蓮聖人はこの故事を引用して鎌倉幕府の御所・信仰する寺院の焼失は法華経を信ぜず、法華経を弘める法華経の行者を弾圧した事を因としているとお説きになられ、自分は法華経の行者である。この教示を真摯に受け止めこれからの信仰生活に励まれる事をおすすめになられるのであります。
「日蓮が法華経の行者であるか否か、今日まで日蓮が歩んできた道、行動で学んでほしい。いや、あなたの目でしっかりと確かめなさい」
と語られます。日蓮聖人が真の「法華経の行者」であるかなしかを知る事は四条金吾殿に限らず七五〇年後の今日お題目をお唱えする者にとっても大事な事であります。
大事な事なので繰り返しお伝えします。
私・日蓮は、法華経はお釈迦さまがお説きになられた真実のみ教えである事。その中でお釈迦さま亡きあと二千年、末法の時代にこの真実のみ教えを弘める為に上行菩薩に付属(遺言)なされた事。その上行菩薩によって南無妙法蓮華経のお題目が私たちにお示しいただけた事。世界の佛教国の中でこの事を実行されたのは日蓮聖人だけである事。日蓮聖人は自分の身の安全よりも世界の人々の安全を考えて行動なされた事。そのために命に関わる大難に度々遭われた事。四百余偏に及ぶ御遺文で法華経が末法万年の人々の救済のために説かれたみ教えである事を人々に伝えてこられた。
これらの事をあなたご自身の目で読み、心で納得しなさい。そしてお題目の信心に励みなさいと今月の聖語は私たちに呼びかけておられるのです。
(聖語は第一篇戒体即身成仏義より始まり毎月一篇の拝読です)