菅野貫首写真

佛法を習う身には四恩を報ずべきに候(四恩抄)

『あなたが佛法を学び、大安心の境地に至りたいと願うのであれば、四恩(一切衆生の恩・父母の恩・国土の恩・三宝の恩)を学び感謝し報恩の行動を起しなさい。』
 今月ご教示の聖語は弘長二年(一二六二)一月六日、日蓮聖人伊豆配流の地から私たちへの呼びかけであります。
日蓮聖人は伊豆ご法難で二つの大事をお示しになられます。「大いなる悦び」と「大いなる嘆き」であります。
「大いなる悦び」とは、この流罪によって法華経の行者である事が証明されたこと、又この流罪によって行住(ぎょうじゅう)坐臥(ざが)に法華経を修行することの法悦であります。次の「大いなる嘆き」とは、法華経の行者を迫害、流罪にした人々の罪の深さを思うと胸がさけそうであるとの思いです。ご配流の身での「悦びと嘆き」日蓮聖人ならではのご心境であります。
 そして佛法に生きる者の心得として「四恩」を示されます。その第一は「一切衆生の恩」であります。私たち人間、いや生きとし生ける者全てが一人では決して生きてはゆけません。その恩を感じなさいということ。
第二は「父母の恩」であります。池上大堂のお祖師さまの右手の拂子(ほっす)に母君の髪の毛が入っていること、皆様ご承知の事と存じます。この髪の毛、伊豆の法難から赦免されて小湊にお帰りになられた時、母君梅菊女は臨終の時を迎えておられました。聖人は即「蘇生のお曼荼羅」をお認められ、ご祈願、母君は四年間ご寿命を延ばされます。そして今生のお別れの時、母君の白髪まじりの髪を数本拝受、小松原、龍口、佐渡ご法難の時、身延山での静寂の時、〝法華経受持によって拝受したお功徳は父君母君にささげます〟と心中で語られます。これ以上の父母ご報恩の教えはありません。
第三は「国土(王)の恩」、この日本国に生まれさせていただいた恩であります。本文上では国主となっておりますが日蓮聖人は、上行菩薩誕生の国を誇りとし、他の御書では国土の恩とおっしゃっておられます。
第四は「三宝の恩」であります。三宝とは佛・法・僧のことで、佛とは久遠実成のお釈迦さま。法とは妙法蓮華経。僧とはその教えを弘める人の事、私達日蓮宗では僧の代表として日蓮聖人と申し上げております。
 この四恩を身と心に強く受け止め行動することが法華経成佛の道であるとのご教示であります。


合掌

日彰