菅野貫首写真

妙法蓮華経の五字を唱える功徳甚だ大なり(唱法華題目抄)

今月ご紹介の聖語は文永元年、聖人三十九才、立正安国論を鎌倉幕府に奉呈勧告なされた時とほぼ同時期に撰述された唱法華題目抄からの拝受であります。立正安国論が『破邪』、政治のあり方を正しているのに対し、このご妙判は何故法華経でなければならないのか、その法華経を受持したならばどのような御功徳があるのかと言った、法華経受持の確かな御功徳を『顕正』されたみ教えであります。
そしてこの撰述書は現在の鎌倉比企妙本寺に居をかまえておられた比企大学三郎殿に与えられたと伝えられております。ちなみに大学三郎という方は、当山開基檀越池上宗仲公、中山法華経寺の富木常忍上人等の各氏と法華経信仰で深い関わりがあり、日蓮聖人ご葬送目録には、お佛像を大学三郎殿が捧じたことが記されており、それほどの方であります。
 ご本文は長文で十五番の問答からなっており、法華経が末法における衆生救済のためお釈迦さまが唯一遺されたみ教えであること、そしてその御功徳が示されます。
今月ご紹介の聖語は_
「ただ題目ばかりを唱える功徳いかん」
の質問に対しお答えになられた
「一佛一切、佛にして妙法の二字に諸佛みな収まれり。故に妙法蓮華経の五字を唱える功徳、甚だ大いなり。」
の御教示によるものであります。
 妙法蓮華経・南無妙法蓮華経の五字七字にはお釈迦さまの御功徳のみならず、諸佛、諸菩薩の積まれた御功徳が収まっている。私たちが至心に唱題するその御功徳は計り知れないのである。
 御功徳について先師は『功徳には上品の功徳と下品の功徳の二種がある。病気平癒、身体健全は下品の功徳。み佛と一体になり、他の人のために祈る唱題した時に至る、何ものにもおそれない大安心の境地、これが上品の功徳である。』と教えております。
私達は唱題によって身体健全・当病平癒等の御功徳を拝受しておりますが、ここで止まっては下品の功徳。せっかくお唱えするのですから、他の人のためにも祈らせていただく上品の御功徳を目指したいものであります。


合掌

日彰