汝、須(すべか)らく一身の安堵を思わば
先ず四表の静謐を祷(いの)るべき者か(立正安国論)
「そなたが、自分の身の安全を願うならば、まず国土、世界がどうなっているかを思い、国土全体が安全であるか、人々がおだやかに生活しているかに思いをはせ、まず全ての人々の安全を祈りなさい。その祈り、その行為からそなたの身の安全は自然に備わってくるであろう」
いつもの通り、私の領解を加えて聖語の現代語表現であります。
今月号の聖語を急遽立正安国論のみ教えにさせていただきました。そのわけを申し述べさせていただきますと、本稿を執筆している四月上旬、コロナウイルスで世界、日本は大荒れ、わけても東京は感染者が毎日六十人、七十人と増え続け、六百人にせまっております。でも国、都は自粛を呼びかけるだけです。私の姪がニューヨークに居りますが、自分のことより「叔父さん日本大丈夫」と心配してくれてくれてます。一方東京都民の中にも色々な方がおられ夜の銀座、新宿は相変わらず賑っており、若者の町渋谷、原宿又しかりです。
アメリカのトランプ大統領は「新型コロナウイルスとの戦争」だと必死でありますが、日本はのんびりムード。お役人までもが「コロナ疲れ」と公言する始末です。私は小学生の時に終戦を迎えましたが、昭和天皇の「耐え難きを耐え、忍び難きを忍び」の玉音放送を忘れることが出来ません。日本もコロナ戦争の最中に在ること、焼夷弾ならぬウイルス菌弾にさらされていることを私たちは実感すべきと思います。
そこで池上本門寺としては大聖人の法域をお守りすること。お給仕する山務員の身を守ることを考え非常事態勢に入らせていただきました。このことは四月二日付で皆様にお知らせしてありますが、念のため本誌にも同封させて頂きました。又池上では二月の段階でこの事を憂い一日壱万遍百日で百万遍のお題目をお唱えして疫病退散の祈願をしており、一般の方々にも危機を呼びかけてきました。
「自分がコロナに罹りたくなかったら、又、人にうつしたくなかったら、極力外に出ないこと、手洗い、うがい、マスクで身を守りましょう」
本門寺は右の実行に入らせていただきました。
結びに今月の聖語、私の経験を加えて説明させていただきましたが七百年前日蓮聖人がすでに警告なさっておられること私たちは今こそ重く受け止め実行すべき時と拝します。
忘れてはなりません昭和二十年日本人はゼロから立ち上がりました。それは生きていたからです。あれから七十余年又又戦いですが、ともかく生きましょう、生きぬきましょう命があればゼロからでもやり直せます。私たち日本人はやり遂げたのです。もう一回やるつもりで、今は身を守りませんか。そして世界全体が一日も早く平和になりますようお祈りいたしましょう。