我れ日本の柱とならん
我れ日本の眼目とならん
我れ日本の大船とならん
誓いし願やぶるべからず(開目抄)
令和二年の新春を寿ぎ、十方有縁の各聖各位皆様のご平安と世界の平和を心よりお祈り申し上げます。 合掌
年初に当りご紹介申し上げます日蓮聖人の聖語は、ご入滅後七百年を経た私たち門下に遺されたお題目受持者の「誓願―誓い・心がまえ」であります。
日蓮聖人は、建長五年四月二十八日清澄寺に於て立教開宗を宣言、法華経、お題目による一切衆生救済のご決意をなさいました。この時ご自身、心中深く秘めておられたご決意、その内容を開目抄ではっきりお示しになられたのがご紹介の聖語であります。私共門下一同は「三大誓願」として大切に大切にお守りさせていただいております。
このご誓願、佐渡ご配流という極限極寒の中で、一つにはご自身のご決意表明のため、二つには私達滅後の門下の者に対して「かくあれ」とお示しになられた「ご教示」でもあります。このご教示を法華経詩人として名高い宮沢賢治は、
「世界全体が幸せにならない限り個人の幸せはあり得ない」
と解説されました。三大誓願の今日的表現であると私は拝しております。
この表現をもとに現在の私たち、日本・世界いや地球温暖化の事に合わせて考えてみますと、地球温暖化の話は十年、いや二十年も前から警告とよびかけがなされ、私たちも身の廻りから見直しましょう、とゴミの分別や焚き火の禁止などを行ってきましたが、如何でしょう。正直に申し上げて今一つ身近に感じていなかったのではないでしょうか。ですが南インド洋の島々では五十年後に水没すると、今からその準備をすすめております。そんな中で大国の大統領が「温暖化なんかそれぞれで考えればよいこと、国をあげての行動は不用」と言ったそうですが、とんでもない暴言です。その証拠に、ここ一・二年の強雨、竜巻、最強台風、世界各地をおそい各国で尽大な被害を受けております。日本も例外ではありません。海水温の上昇、温暖化がその原因と指摘されて私たちもようやく、目がさめたのではないでしょうか。識者によると、今後毎年続く可能性大との事です。如何でしょう。個人と世界は一つ、宮沢賢治の言う通りであります。気候だけではありません。生活の格差、貧困、地域紛争、人種差別、みんな私たち一個人とつながっております。私たちは世界の現実を直視する「眼」、世界の人々の声を聴く「耳」をもって、あらためて日蓮聖人のご教示、三大誓願を我が身、我が心にあてて拝受すべき時であると拝します。