伝教大師一二〇〇遠忌
比叡山延暦寺にて報恩法要を厳修

 令和三年十一月十九日、日蓮宗として伝教大師最澄(さいちょう)一二〇〇大遠忌報恩法要が、菅野日彰管長大導師のもと天台宗総本山比叡山延暦寺(滋賀県)大講堂で営まれました。
 この報恩法要は、数年前に天台宗側から大遠忌を迎えるにあたり、祖師が比叡山出身である各宗派に提案されていましたが、新型コロナウイルスの影響によりすべて中止となっていました。日蓮宗として、日蓮聖人と伝教大師の切っても切り離せない仏縁の深さから、今回の法要は日蓮宗側からの報恩参拝という形で実現しました。
 若き蓮長法師(日蓮聖人)は鎌倉での遊学を終えられたものの、未だ浅学の身とのご自覚からさらなる遊学に向かわれます。領家の尼から支援を受け、二十一歳から十二年間、比叡山にて研鑽を積まれます。法然上人や道元禅師も比叡山で学ばれたことで知られていますが、当時比叡山は仏教の総合大学的存在でした。その中で一切経を学ばれた日蓮聖人はあらためて法華経の素晴らしさに触れ、法華経・お題目の信仰へと進まれます。そのきっかけとなった人物が日本に天台宗を伝えた伝教大師最澄(七六七~八二二)です。日蓮聖人は伝教大師を「たった一人伝教大師だけが法華経を正確に理解している」と『開目抄』の文中で触れられているほか、法華経がインドのお釈迦様のもとで説かれ、中国の天台大師智(ち)顗(ぎ)が発展させ、伝教大師最澄によって日本へ持ち帰られ、ご自身が法華経を弘通することを誓われたことから『顕仏未来記』の文中で「三国四師」と称し伝教大師最澄の大いなる徳を讃えられています。
 法要に先立ち延暦寺大書院・桐の間において、天台宗と日蓮宗の御挨拶の儀が執り行われ、天台宗からは森川宏映座主猊下名代の叡南覺範探題大僧正、阿部昌宏宗務総長、水尾寂芳比叡山執行、日蓮宗からは菅野日彰管長、中川法政宗務総長、橋本一妙近畿教区長が出席しました。菅野管長は法要の記念として叡南大僧正に自ら揮毫した曼荼羅ご本尊を贈られ「日蓮聖人が生命の危機を感じるほどの厳しい佐渡において、その命を懸けて大曼荼羅御本尊を顕された時、きっと伝教大師にご奉告なされていたと思います。伝教大師の遠忌の節目に日蓮聖人降誕八〇〇年を同時に迎えたことを仏縁とし、日蓮聖人に代わってご本尊をお納めさせていただきました」と述べられました。叡南大僧正は「伝教大師様は国の宝となる人材を養成したいというお心でいらっしゃいました。その想いが日蓮聖人にも受け継がれ、今も日蓮宗の人たちに受け継がれていると思います。ともに国、世界のために努力してまいりましょう」と述べられました。
 大講堂での法要にあたり、延暦寺からのご厚意で大曼荼羅御本尊を掲げ、大講堂に祀られている日蓮聖人像をご宝前に安置して営まれました。
 法要後は、日蓮聖人が勉学に励まれ、院主を務められた横川定光院を参拝し、法味を捧げました。

  第五十一回
宗門先師追悼法要

 令和三年十一月二十五日(木)、午前十一時より本殿において第五十一回宗門先師追悼法要が営まれました。大導師に菅野日彰管長、副導師は柳下俊明宗会議長、磯貝宣明審査会長、本門寺より十僧が出仕し、この一年間で遷化された百四十五名の先師に回向が捧げられました。
 新型コロナウイルス感染者数減少により遺族およそ六十名の参列が叶い、一心に手を合わせ遷化されたお上人へ報恩感謝を捧げていました。
 式中、中川法政宗務総長より追悼文が捧げられ、昨年の十月一日から本年の九月三十日までに宗務院に遷化の届け出のあった先師に対し、お題目の広宣流布と寺門興隆・檀信徒教化に心血を注がれた法功が讃えられました。
 法要後、菅野管長は「谷中学寮の教え子の名前があり、大変心が痛いです。私も遺族の一人としてご回向を捧げさせて頂きました」と法話されました。

  宗祖四大法難
小松原(こまつばら)法難会

 文永元年(一二六四)十一月十一日に日蓮聖人は安(あ)房(わ)小松原の地で地頭東条景信の待ち伏せ・襲撃を受けます。この時に弟子の鏡(きょう)忍(にん)房(ぼう)と信徒の工(く)藤(どう)吉(よし)隆(たか)公が討死し、日蓮聖人自らも腕を折られ、額に刃傷を負われるものの、九死に一生を得ました。日蓮聖人は、この法難によって法華経の行者としての自覚を強められたと伝えられます。
 なお、後に日蓮聖人は亡くなられた二人の菩提を弔うため、工藤吉隆公の遺子で弟子となった日隆上人へ命じて開かれたのが小松原山鏡忍寺(千葉県鴨川市)です。
 本門寺では十一月十一日午前十一時より、大堂にて鈴木弘信執事長導師のもと法要が営まれ、信行会会員が参列し報恩の読経・唱題が捧げられました。法要中、菅野日彰貫首より託された表白文を鈴木執事長が読み上げ、日蓮聖人の法華経の行者としての思いを受け継いでいくことを誓われました。

  裏千家今日庵主催
御供茶式(おくちゃしき)

 十一月十七日(火)、裏千家今日庵恒例の御供茶式が菅野日彰貫首導師のもと大堂にて営まれました。
 法要中、裏千家家元の坐(ざ)忘(ぼう)斎(さい)千(せん)宗(そう)室(しつ)宗匠による濃茶・薄茶二碗が謹点され、伝供役の僧侶により日蓮聖人の御宝前へお供えされました。
 新型コロナウイルス感染拡大防止のため参列者のいない中での法要となりましたが、動画投稿サイト「ユーチューブ」にてライブ配信を行い、全国有縁の皆様にご覧戴きました。

  ご苦労様でした
11月の団体参拝

  • 3日 岡山県 大尊会 20名
  • 18日 岡山県 妙圀寺 7名