お檀家とお山の絆を深めるために
第三回終活相談会を開催

 6月27日(水)の午後二時より、長栄の間にて第三回終活相談会が開催され、七十名のご参加を頂きました。
 第三回目となる今回は、本門寺のお檀家に限らず、広く参加を呼びかけました。また、講師に上信堂石材部の小比賀英夫さんをお招きし、日本のお墓の歴史やお墓の在り方、お墓の移転方法などについてお話し頂きました。  質疑応答ではお墓を移動する際の具体的な質問が出るなど、活発な相談会となりました。

一、菅野日彰貫首ご挨拶
 開会にあたり参加者一同でお題目三唱の後、菅野日彰貫首よりご挨拶があり、「本門寺は大本山という大きな組織のため、気軽に相談しにくい状態になっています。これでは親しさが薄くなり、つながりを持つことが難しくなってしまいます。そこで檀家さんが僧侶と話せる場を設けたいと考えています。終活相談を入り口に、ご自身の悩み事なども気軽にお話し頂けるようになることが最終目標です。日蓮聖人のみ教えは民のためのみ教えです。一部の人たちのための物ではありません。日蓮聖人と皆さんが御題目でつながる、これこそが何よりも大事なのです。」と呼びかけられました。
二、世界のお墓と埋葬について
 小比賀さんからは、世界のお墓と埋葬事情についてお話しがありました。
 お墓は文化・精神性の象徴で、自然界では人間だけがお墓作りを行っています。実用性という面からは離れた存在です。しかし地域や人種が異なっていても、人はお墓を作り埋葬をします。
三、日本のお墓の歴史
 日本におけるお墓の歴史は縄文時代に遡ります。青森県三内丸山遺跡では、集落の入口に土壕(どごう)型で埋葬されていました。弥生時代になると甕形の棺桶に入れ、同じように集落入口に埋葬されます。こういった点から、お墓参りをしてから集落の出入りをしていたと考えられています。
 日本神話にもお墓が登場します。黄泉の国から逃げてきたイザナギが追いかけてくるイザナミを抑えるため千曳岩でこの世とあの世の境界線を作ります。このイメージから「お墓は怖いものを封じ込めるもの」とか「死の穢れを封じ込めるため」と思われがちです。しかし実際には自然の摂理・神聖な命の営みを象徴するものです。
 鎌倉時代になると武家を中心にお墓の文化が広がります。これは鎌倉仏教がひとりひとりが成仏するという考え方を布教したためです。日本で生まれた一番古い石造りのお墓は、平安時代の真言宗僧侶、覚鑁(かくばん)が作った五輪塔です。これは五大(地水火風空)を表すもので、現在の塔婆と同じ意味です。
 江戸時代になって庶民もお墓を持てるようになります。この頃は個人か夫婦単位でのお墓が中心でした。今のような家単位でのお墓は明治以降のものです。また火葬が主となるのも最近で、土葬が主な埋葬法でした。神道では土葬でしたので、廃仏毀釈の際には火葬を禁止した地域もあります。
四、お墓の引っ越し順序
 お墓を引っ越しする際の手順を紹介します。
  • ①家族親族と相談し、お墓に埋葬されている方を調べます。
  • ②現在の墓地管理者(菩提寺や霊園業者)に相談します。
  • ③墓石ごと移動するか遺骨のみ移動するかを決めます。
  • ④墓地管理者から埋葬証明書をもらい、行政手続(改葬許可申請)を行います。
  • ⑤遺骨を取り出し、閉眼法要を行いします。
  • ⑥墓地を返還します。この時、更地にするのが原則です。
  • ⑦遺骨を移送します。基本的に人の手で運びますが、遠隔地などで難しい場合、郵便局のみ対応してくれます。
  • ⑧新しい墓地に納骨し、開眼法要を行い引っ越しは完了します。この開眼によって〝石〟から〝お墓〟になります。
五、質疑・応答
Q「実家の墓じまいを考えています。嫁ぎ先のお墓に実家のご先祖様を埋葬したいのですが、まずどこに相談するべきですか。」
A「まずは現在の菩提寺との相談が必要です。ご親族とのご相談も忘れずに行って下さい。特にお墓の中にどなたが埋葬されているのかをしっかり把握して頂くことが重要です。また宗派不問でしたら問題ありませんが、改宗して納骨する場合は移転先のお寺とも相談が必要です。なお本門寺では宗派が違っている場合、日蓮宗に改宗して頂くことで移転が可能です。」

  全ての御魂に報恩感謝
盂蘭盆施餓鬼会法要

 七月七日(土)、池上本門寺本殿にて菅野日彰貫首導師のもと盂蘭盆施餓鬼会法要が営まれました。
 盂蘭盆施餓鬼会とは、餓鬼道で苦しむ衆生に食事を施して供養する法要の事で、釈尊の十大弟子の一人である阿(あ)難(なん)尊(そん)者(じゃ)が、瞑想していると、口から火を吐く一人の恐ろしい餓鬼があらわれ「三日後に死んで、我々と同じ恐ろしい餓鬼道に落ちる」と言いました。驚いた阿難尊者が、どうしたらよいかを釈尊に尋ねたところ、釈尊は「その苦から免れたければ、三宝(仏・法・僧)に供養しなさい。また無数の餓鬼たちに食物をほどこして供養した功徳により、餓鬼も救われ、その功徳によってお前も救われるだろう」と教わり、これによって寿命を延ばすことのできた阿難尊者の説話が起源です。
 参列者は施餓鬼幡と水向供養の後にお焼香し、一切の精霊に供養を捧げました。

  お寺に泊まろう
第二十二回一泊てらこや

 子どもたちに池上本門寺とのご縁を結んでもらおうと始まった一泊てらこやが今年も開催されました。小学校三年生から六年生までの子ども達三十七名が集まり、普段の生活とは全く違う一泊二日の体験をしました。
 大堂で日蓮聖人にてらこや生活の無事と頑張ることを誓うことから始まり、竹箸作り、お願い事を自分で決めてお題目を書写したお守り作り、そして修行の時間として本殿で慣れない正座に苦戦しながらの唱題行、日常とは違っておしゃべりせず黙って真剣にいのちと向き合う食事の時間、朝は五時前に起きて眠い目をこすりながら朝のお勤めに参列するなど盛りだくさんの内容でした。最後に、班ごとに境内を巡り本門寺について勉強したあと、大堂で閉校式を行いました。
 てらこやを通じ、子ども達は少したくましい顔になったように感じられました。本門寺で過ごした一泊二日は新鮮に映ったことでしょう。これからも新しい発見を求めて本門寺にお参りしてくれることを願います。

  ご苦労様でした
6月の団体参拝

  • 1日 青森県 法永寺・正行寺 24名
  • 3日 練馬区 本覺寺 43名/ 古河南無の会 16名
  • 5日 日蓮宗尾張北部寺院教会 79名
  • 6日 長崎県 護国寺 11名
  • 12日 静岡県富士宮市第四区寺院 152名
  • 15日 北海道 法亀寺 14名