追悼

 『私は物心ついた頃から夕勤をする祖父の後ろに座って、お題目をあげていました。祖父はお勤めを終えると(かしこい、かしこい)と言って、お数珠で頭を撫でてくれ、小さな私を肩車して、『ほいっと!ほいっと!』と言いながら仏間を一周してくれました。  その祖父は、わたくしが小学校一年生のときに亡くなりました。いつものように、病床にあった祖父の枕元で手をついて『行って参ります』と挨拶して学校に出かけたのに、戻った時には帰らぬ人になっているなんて。なぜ、両親は死に目に間に合うように学校に迎えに来てくれなかったのだろうと、悔しく思ったのを覚えています。』2017年池上誌9月号 平成27年信行道場で修行を共にした岡田真水上人の六年前の投稿です。ご家族に手厚く見守られて七月九日遷化されました。謹んで増円妙道を祈念申し上げます。

合掌

山口顯辰