お手綱

池上本門寺では4月27日、28日、29日に行われる『千部会』と、10月11日、12日、13日に行われる『御会式』の二大行事を大会【だいえ】といいます。
大会では、参拝者の皆様がお祖師様の霊気に直に触れていただくことがききますようお手綱【てづな】が出されます。ここ数年はコロナ禍の影響に伴い、お手綱を境内に引くことができずにおりましたが、先日執り行われました『千部会』では三年ぶりに境内にもお手綱を繋ぐことができました。
『千部会』は『法華経千部讀誦会【ほけきょうせんぶどくじゅえ】』のことをいい、日蓮宗では、多数の僧侶が法華経一部(序品第一より普賢菩薩勧発品第二十八まで)を千回読誦することから「千部会」と称され、また一般には「お千部」とも呼ばれています。
池上本門寺に於いては、江戸時代中期頃には年中行事として千部会は定着し、江戸市中の各町内に「千部講中【せんぶこうちゅう】」という講中が作られ盛大な法要が営まれるようになりました。
池上本門寺のお手綱は、お祖師様より大堂土間までの堂内は五色【ごしき】のお手綱が引かれ、そして土間からはご信者様よりお供えされる晒【さらし】につなぎ、お手綱はお祖師様の手から境内の角塔婆まで延び、ご参拝される多くの方にお祖師様の霊気、そしてご利益を授かることができます。
お手綱を手にすることは、お祖師様に直に触れることと同じで、お祖師様とのご縁を結ぶことができる大切な機会です。ご縁がありましたら大会にご参拝いただき、池上本門寺のお祖師様の霊気に触れてみてはいかがでしょうか。

合掌

伊澤 文彦