コロナウイルスから学ぶもの

 新型コロナウイルスの猛威が収束を見せない状況にありますが、未知のウィルスの脅威にさらされ、私たちはかつてない経験をしました。感染拡大の当初はマスクの買い占めや高額な転売の問題があり、また、デマによるティッシュペーパーの品薄、その後も、医療従事者への偏見や感染者への差別・・・。ウィルスそのものの脅威もさることながら、それに直面する人間の自分本位な行動や根拠のない面白半分の情報発信、そういうものが余計な混乱を招いて不安を増幅させていきました。
 私たちは新型コロナウイルスから何を学べるのでしょうか?
 ウィルスの研究や感染対策については専門家が様々な分析をしていますが、非常時にあって私たち人間がどうあるべきかを私たち自身がよく考えるべきだと思います。『助かりたい』と思うのは当たり前です。当たり前ですが、自分が助かるためなら何をしても良いのか。人を陥れてまで助かろうとすることが人道上許されるのか。ではどういう行動が正解なのか。個人・家族・地域・社会という単位でどのような規範が求められるか。突き付けられている問題は難しいことだとは思いますが、結局は『どう生きるか?』という人生の矜恃のあり方なのだと思います。
 『生きる』という生物的現象上、自分本位であることは自然な行動とも言えます。ただ、私たち人類は高度な知能とともに深い愛情を併せ持っているはずです。
 本能的に自分本位で行動する人ばかりでは人類に明るい未来はありません。他を思いやり、共に助かるすべを考え、協力するという生き方を持たなければ人類に存続の価値はないのかも知れません。
 地球上で繁栄を貪っているばかりではなく、存続の価値ある種となるためにはどうあるべきかを考える機会と捉えたいと思います。

合掌

畑信行