五十年の想い

十月に入り、いよいよお会式の季節であります。

本年も十月十三日の宗祖御入滅特別説教を務めさせて頂きます。
さて、九月二十三日は私山口顕辰にとって特別な日です。
今から五十一年前の昭和四十四年九月二十三日、四年半にわたる海上自衛隊の職を辞して出家得度をした日なのです。
剃刀を当てられて剃髪をして墨染めの衣に着替えた、あの時の情景は今も瞼の奥にはっきりと残っています。
その日から私服を着ることを禁じられた私は、どうしても現役時代遠泳訓練中魚を喉に詰まらせて、私の腕の中で死んでいった同期生の墓参りをしたく道服のままで夜行列車に乗ったあの日事も忘れません。
墓前で誓った「立派な坊さんになってお前の事は必ず伝えていくよ」と心の約束は少し果たせたかなと思っています。
私も間もなく七十二歳になります。生かされた命を大切に生き切ろうと思っています。

合掌

学監・布教部執事 山口顕辰