8月15日

8月15日を迎え令和元年8月15日、今年で戦後74年を迎えました。
日蓮宗では、千鳥ヶ淵戦没者墓苑が建立された昭和34年以来、毎年8月15日に日蓮宗宗務総長を御導師に「千鳥ヶ淵戦没者追善供養・世界立正平和祈願法要」を営んでおります。
千鳥ヶ淵戦没者墓苑は、海外から収集され身元不明など引き取り手のない戦没者の遺骨36万9,166柱(平成30年5月28日現在)が六角堂に安置されています。
昨年まで、私も8年来この慰霊法要に参列させていただいておりました。晴天の年、猛暑の年、雨の年もありました。蝉の鳴き声も聞こえてきました。作家の高見順の『敗戦日記』には「8月15日 ついに負けたのだ。戦いに敗れたのだ。夏の太陽がカッカと燃えている。目に痛い光線。烈日の下に敗戦を知らされた。蝉がしきりと鳴いている。音はそれだけだ。静かだ」とあります。
終戦の日の天気を調べますと関東以西は晴れ、東北・北海道は曇天で一部地域によっては小雨が降ったと記録があります。
法要では、大勢の参列者がお焼香をされ、お花を手向けられ、一心に戦没者のご冥福を祈るとともに、二度と戦争が起こらぬよう世界立正平和の祈りを捧げております。
数年前、法要に於いて御導師様が「勝つものは怨みを招き、敗れたるものは苦しみを増す。そのいずれをも離れたる者は、心安らかにして幸いなり」と述べられていました。以前に訪れた鹿児島の知覧特攻平和会館で拝観させていただいたときのことを思い出しました。
多くの尊い命があっての今の自分自身の命であるということを実感いたします。ご供養をする心が平和な世の中を築く第一歩となるのではないでしょうか。

合掌

伊澤文彦