三省

 史上最年少でプロ棋士となり次々と記録を塗り替えた藤井聡太四段の活躍で注目を集めている将棋界ですが、私が担当しております池上本門寺の朗峰会館でも実は第74期名人戦の第6局が昨年の6月7・8日に予定されていました。結果としては羽生善治名人が第1局のみ勝ちましたが、その後挑戦者の佐藤天彦八段(現名人)が4連勝して名人位を奪取し朗峰会館での対局は実現いたしませんでした。そんなご縁で当時頂戴した羽生名人の扇子に「三省」という文字が書かれています。
 明治時代の実業家渋沢栄一の座右の銘としても有名な言葉ですのでご存知の方も多いと思いますが、論語の「吾日に吾が身を三省す。人の為に謀りて忠ならざるか、朋友と交わりて信ならざるか、習わざるを伝えしか」という言葉です。
(私は一日に何度も自分の行いを反省する。他人の為に真心を尽くして考えたか、友人と嘘をつかず誠実に交際できたか、よく知りもしないことを人に伝えたり教えたりしていないか。)といった意味になるかと思います。
 日々の報道を見ると、自分の知り合いが有利になるよう便宜を図る人、先の米大統領選挙でも影響があったと言われるインターネットのフェイクニュースなど、人や情報は信頼できるのか不安になりますが、自分が佛様の元に戻った時に後悔しないよう日々精進して行きたいものです。

合掌

上野智晴