お盆はご家族と共に

8月を迎え、多くのご家庭でお盆の準備をなさっていることと存じます。
池上本門寺をはじめ、関東の一部地域では7月にお盆を迎えますが、全国的には8月盆が主流です。
これは新暦を用いるか、旧暦を用いるかによってお盆の時期に差異があるためです。
しかし、本当に大切なことは、ご先祖のみ魂をお迎えし、ご回向を捧げることにあろうかと思います。
きゅうりで馬を作り、なすで牛を作るのも、ご先祖が早馬でお越し頂き、牛に多くのお土産を携えてゆったりお帰り頂きたいという心から生まれた物です。
そのご先祖をおもてなしする心こそ「仏心」といえるのではないでしょうか。

日蓮大聖人の御遺文に「盂蘭盆御書」(うらぼんごしょ)がございます。
悪の中の大悪は我が身に其の苦をうくるのみならず、子と孫と末へ七代までもかゝり候けるなり。善の中の大善も又々かくのごとし。
目連尊者が法華経を信じまいらせし大善は、我が身仏になるのみならず、父母仏になり給う。上七代下七代、上無量生下無量生の父母等存外に仏となり給う。
乃至子息・夫妻・所従・檀那・無量の衆生三悪道をはなるゝのみならず、皆初住・妙覚の仏となりぬ。
故に法華経の第三に云く。願わくはこの功徳をもって、あまねく一切に及ぼし、我らと衆生と皆共に、仏道を成ぜんと。


簡単に内容を申し上げますと、私たちが今を懸命に正しく生きることによって、私達の父母も祖父母も、ひいては七代前のご先祖様も仏になることができ、さらには子や孫、七代先の子孫までも仏になることができると説かれております。
私達人間は正しい生き方をするのが難しい存在です。
そこで、頭の片隅に置いておいて頂きたいことがございます。
それは、人間が持つ霊魂は不滅であり、死んだらお終いという存在ではないということです。 だからこそ、今を生きる私達が仏様の教えにそった生き方をすることで、ご先祖のみ魂も仏になることができるのです。 そして、日蓮大聖人もおっしゃられているように、この行いはご先祖のためだけではなく、子や孫にも影響いたします。 皆様の日々の行いだけでなく、お盆のように大切な行事を共にすることで、お子さんやお孫さんにも正しい生き方を伝えることができます。
現在では核家族化が進み、お棚経でお伺いをしても奥様がおひとりでいらっしゃることが多くございます。 ぜひお盆をひとつのきっかけに、ご家族が集うお時間とし、仏様の教えであるお題目をお供え頂ければ幸いです。

合掌

金子元彦