荒行僧の功徳

私のお寺が所属する組寺の若僧侶が、日蓮宗の荒行を成満し、先日帰山奉告式が行われました。
日蓮宗の荒行は「世界三大荒行」と言われており、非常に厳しい修行です。正式には「加行(けぎょう)」と言います。「加行」とは仏教用語で、あることを達成するための手段として行う、準備的な修行のことを言います。
荒行は、毎年11月1日より翌年の2月10日まで、千葉県中山の法華経寺において寒中一百日間行われます。
【寒水白粥 凡骨将死】(かんすいびゃくじゅく ぼんこつまさにかれなんとす)
【理懺事悔 聖胎自生】(りざんじげ しょうたいおのずからしょうず)

この言葉は、荒行堂の生活を表した言葉です。1日7回の寒水に身を清め、懺悔滅罪をして1日2回の白粥に命を繋げ、死と隣り合わせの中、仏祖三宝・諸天善神のご加護を頂き、法華経を読誦し、身・口・意(体・口・心)にお題目をお唱え、その力によって自分自身を即身成仏に導き、尊い身体となることを目的とする修行が荒行です。荒行堂での修行を終えた彼は日蓮宗修法師として加持祈祷が許され、荒行で得た功徳を檀信徒皆様にご利益として分け与える事が出来るようになりました。
日蓮大聖人は『法華経の行者の祈りの叶わぬことあるべからず』と述べられています。
修法師の使命は、加持祈祷により檀信徒皆様の悩みや願いを仏祖三宝・諸天善神の慈悲をもって救い、叶えることですが、仏祖三宝・諸天善神と修法師と檀信徒皆様の心が一致した時(これを感応道交と言います)に、初めてご利益が生まれます。
そういうことで、檀信徒の皆様が祈願や加持祈祷をお願いする時は、合掌し一緒にお題目をお唱えし、祈りを捧げて下さい。
実は今回荒行を成満した若僧侶は、当山の役課(本門寺で働くお坊さん)でもあります。
3月22日(火)午後2時より、本門寺の守護神である「長栄大威徳天」の例祭が営まれます。この時初めて彼が、長栄天信者の皆様に対してご祈祷を致します。是非当日にお参り頂き、修法師のご祈祷を受け、ご一緒にお題目をお唱えして、各々に祈りを捧げ、百日間に亘る荒行の功徳をお受け下さい。

合掌

梅本明宏