
佛像の開眼供養は 法華経にかぎるべし(四条金吾釈迦仏供養事)
建治二年(1276)7月15日、鎌倉武士の大信者、四条金吾殿が木像の釈迦仏一体を造立し、その開眼供養をお願いされ、合せてご自身の近況を報告されたことに対するご返事が今月紹介の聖語であります。四条金吾殿と大聖人との佛縁をはじめ、その信仰心については度々ご紹介しておりますのでここでは割愛させていただきますが、この方は強烈な法華経信者、大の日蓮聖人信者のお一人であるという事だけは述べさせていただきます。
その四条金吾殿がお釈迦さまの御尊像を造立、その開眼供養を大聖人にお願いなされた事は、先に述べた通りでありますが、ここでお心にとどめていただきたいことがあります。それは日蓮宗にとって、ご本尊はお釈迦さまでいらっしゃること、お釈迦さまは印度(いんど)でお生まれになられ、お悟りを開かれ八十年のご生涯をおくられた生身のお釈迦さまを根本におき、そのお釈迦さまが法華経の第十六章如来寿量品において「自分の『いのち(佛性)』は八十年の私ではない過去・現在・未来永劫生き続けるのである」とお説きになられた「久遠実成のお釈迦さま」が日蓮宗のご本仏・ご本尊なのであります。
このことを念頭に大聖人は
「御尊像に魂入れ(開眼)のお経をあげるということは三世にわたって私たちを救って下さる久遠実成のみ佛である事。その事が説かれているお経は法華経だけなのである。だから開眼のお経は法華経でなければならないのである」
と仰せになります。
併せて申し上げますと、日蓮宗では鬼子母神さまをはじめとして、沢山のご守護神さまによって私達は諸難からお守りいただいており、各ご家庭で御尊像を奉安しておりますが、このご守護神さまも法華経において「法華経を信ずる人を守る」とお釈迦様の前でお誓いなさっておられます。つまり全てのご守護神さまは法華経・お題目の光明に照らされてはじめてそのお力を発揮することが出来るという事であります。
そこで今月ご紹介の聖語、
「お造りしたお釈迦さま、お鬼神さまはじめ諸天善神ご守護神の魂入れ・開眼供養は、法華経・お題目によってのみ、そのお力を発揮することが出来るのである」
とのおさとしであります。重ねて申し上げますが、その理由はご守護神さまご自身が法華経でお誓いなさっておられること、その誓いは久遠実成のお釈迦さまによって未来永劫続くものであること。故に私たちをお守り下さるご守護神さまのお力も未来永劫変らないということであります。お仏像・ご守護神像の開眼供養は法華経、お題目で開眼供養することによって最大限そのお役目を果たすことが出来る。今月の聖語はこのように私たちをさとしておられるのであります。