法華経に人生の全てのことが説かれてます

明けましておめでとうございます。
平成二十八年が皆様にとって平穏、平安の年でありますよう、池上のお山よりお祈り申し上げます。
当山八十三世の法灯を継承させて頂いた初めての年、決意を新たに精進して参ります。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

夫れ法華経と申すは八万法蔵の肝心、十二部経の骨髄也。三世の諸佛は此の経を師として正覚をなり、十方の佛陀は一乗を眼目として衆生を引導し給ふ
(兄弟鈔)
今日の言葉で申しますと、『法華経というみ教えは、お釈迦さまが五十年間かけてご説法された八万四千ものご法門の中でも最も大事なことを説かれたお経であり、又十二部と言って、五十年間のご説法の内容を学問上・内容別に十二に別けたお経の中心根本の教えである。要するにどの方向から拝読しても法華経が第一であるということ。過去・現在・未来(これから佛の位にのぼられる方も含めて)の世に於いて、悟りを開かれ佛の位にのぼられる方はみな、この法華経を自分の先生として学び正しい悟りを開かれた。だからこの世の全ての佛さま方はこの法華経を只一つのみ教え、辿り着く悟りの世界として人々を導かれるのである。』


   さて、年の始めにあたり皆さまにご紹介申し上げる日蓮聖人のお手紙は、当池上本門寺をご寄進なされた池上宗仲・池上宗長ご兄弟と、そのご夫人にお与えになられたお手紙の冒頭です。もう一つの念押しのところもご紹介させて頂きます。それは
「法華経を経のごとく説く人に会い難し、法華経は尊いみ教えではあるけれども、その内容を正しく読み伝える人に会うことは大変に難しい。」
 という本文中の一節であります。
法華経が説かれて二千五百年、平成の今日でも独自の立場で法華経の解説をされる方がおられますし、日蓮聖人と同じ鎌倉時代の祖師方はみなお読みになられました。しかし「難しいから捨ててしまいなさい」又「悟りに文字はいらない」という祖師方の中で只一人日蓮聖人だけが『南無妙法蓮華経とお唱えなさい、これが法華経の神髄です。』とお説きになられました。それは「法華経はお釈迦様の真実の言葉(金言)である、説かれていることそのままに拝読すると南無妙法蓮華経のお題目となる」との日蓮聖人のご教示で「説の如く説く人に会うのは難しい」という先にご紹介したお言葉に繋がっているのであります。
 結論です。法華経は尊いお経です。私たちの人生の生老病死の苦を全て救ってくださるお経であります。ですが読む人によってそれは大きく変わります。ある意味ではそれだけ難しいお経でもあるのです。それだけに私たち受ける側の勉強と信じる力が求められます。法華経は私たちの苦を全て救って下さいますが、それには南無妙法蓮華経のお力を信じ切り、身と口と心でお唱えすることが只一つの道、今年はこのこころで共にご修行いたしましょう。

合掌

日彰