優しい言葉を心がける

今年もお盆が終わり、ようやく一息ついたところです。
私は年度途中の九月から本門寺に勤務し、今年でちょうど丸八年のお勤めとなりました。この四月からは部署も変わり、八年間勤めてきたとはいえ、気持ちはまるで新入社員のようです。慣れないことも多く、日々新しいことを学びながら過ごしております。
そんな中でも、変わらず続いているのが朝勤です。大堂では、道場偈から始まり、法華経を読誦し、お題目をお唱えします。本門寺では、方便品、一部経、自我偈を読みます。
その方便品の中に、私の好きな言葉があります。
「言辞柔軟 悦可衆心(ごんじにゅうなん えっかしゅしん)」
「やさしい言葉をもって、人々の心に喜びを与える」といった意味の言葉です。
常々、できるだけ皆様にやさしく声を掛けたいと思っております。しかし、思っていることと実際にできることは、なかなか同じにはなりません。先日も、自分の強い言葉によって相手に嫌な思いをさせてしまいました。そして、その言葉に対して返ってきた言葉に、今度は私自身が不快な思いをしました。
まさに、負の連鎖です。
世界に目を向ければ、争いや戦争もまた、こうした負の連鎖の中で繰り返されているのかもしれません。一人の怒りや憎しみが、次の怒りや憎しみを生み、それがさらに大きな争いへとつながっていく――。
だからこそ、まずは身近なところからでも、「言辞柔軟 悦可衆心」を心掛けることが大切なのだと思います。
誰もが仏様の心を持ち、やさしい言葉で人に接することができれば、少しずつ負の連鎖を断ち切り、穏やかで幸せな日々へとつながっていくのではないでしょうか。
私自身、まだまだ実践できていないことばかりです。それでも、朝勤でこの言葉に触れるたび、少しでもやさしい言葉をかけられる自分でありたいと思います。
新しい部署で、新入社員のような気持ちで過ごす今だからこそ、改めて「言辞柔軟 悦可衆心」を胸に、一日一日を大切にしてまいります。

合掌

今川高之