感謝して大事に

日蓮宗では、僧侶としての資質を身につけるため、年に3回「信行道場」が身延山久遠寺で行われます。
35日間の修行期間中は毎朝の水行にはじまり、朝勤、研修、講義、法要の実地練習、さらには七面山登詣など、さまざまなプログラムが組まれており、これらを修めて日蓮宗教師としての第一歩を踏み出します。
私も40年前、同期の仲間たちとともに信行道場に入りました。法華経を学び、読経し、ときに議論を交わし、一緒に先生から注意を受けたりと、今ではすべてが懐かしく、楽しい三十五日間だったと思い返しております。
私の子弟も、今年の夏に信行道場へ入場し、無事に修了して日蓮宗教師として寺へ戻って参りました。帰山した翌日は龍ノ口法難会であったため、「本門寺での龍口法難会に参列し、お祖師様へご挨拶と報告をしてきなさい」と促しましたところ、このときばかりは素直に参列し、御宝前に進んで僧侶として初めてのご挨拶をすることができました。
子弟は鎌倉・比企谷妙本寺で生まれ育ち、十年ほど前から池上で暮らしております。その間、私たちは多くの方々に助けられて参りました。そのご恩を深く受け止め、感謝の心を忘れず、これからは皆さまのお力添えに少しでも報いるべく、真摯に修行と奉仕に励んでほしいと願っております。
今年も残すところわずかとなりました。一年のご縁に感謝し、どうぞ良いお年をお迎えください。

合掌

今川高之