「ちょっとした「ご縁」から」
いよいよ梅雨入り宣言がされ、池上本門寺の境内もすっかり新緑から深緑へと移り変わってきました。緑には様々な色合いがあり、淡い緑から深い緑まで様々で、この時期ならではの爽やかな香りとともに、私たちをとても心地よい気持ちに変えてくれます。
先日、テレビをつけますと芸能人が長野を旅行するという番組が放送されていました。その中でタレントさんが「牛にひかれて善光寺参り」という諺を紹介していました。「牛にひかれて善光寺参り」というのは、思いがけない縁により偶然よい方に導かれるという意味に使われます。
ある日のこと、千曲川でお婆さんが洗濯をしていると何処からか牛が一頭現れて、その牛の角に洗濯して干していた布を引っかけたまま去ってしまいました。お婆さんは布を取り戻そうと慌てて牛を追いかけていきました。ところが牛の足が速く、なかなか追いつけず、気が付くと善光寺まで来ていました。すると、追いかけてきた牛がどこからともなく現れたかと思うと光明がさし、お婆さんは自分を善光寺に導いてくださったことに感謝しました。その後、この縁をきっかけとしてお婆さんの信心が始まったという話です。
いま池上本門寺と皆さまとはホームページを通して、さらに「読む」から「ちょっといい話」を開いたことから読んでいただくことができました。この「ご縁」から皆さまに池上本門寺へお参りいただきましたら、先程の諺の話にあるような現代版と感じる次第です。
皆さまに池上本門寺をご参拝いただいたとき、ひと時でも憂いを離れて心静かに声なき声に寄り添っていただけたら幸いに存じます。
合掌
伊澤文彦